またの冬が始まるよ


お誕生日イブ



日本の“クリスマス”は相変わらず、
当日よりも前日のイブに重点を置く傾向が強いようで。
商店街や駅前ショッピングモールなんぞのケーキ屋さんでは
予約なしでも買えますよと、
ホールタイプのクリスマスケーキが一番いいポジションに並んでいたし。
宝飾店や雑貨屋さんでも、
雪に見立てた純白のメリンス布の上、
ミニチュアのサンタやツリーなどなどが飾られたディスプレイのそこここに、
贈り物にいかが?というサテンのリボンをくっつけて、
ピンブローチ付きのカシミアのストールだの
ファッションリングだのメレダイアをあしらったペンダントだのが、
煌びやかに並んでおり。
はたまたおもちゃ屋さんの前では
サンタクロースへのお願いは済んだかな?なんて
夢を壊さぬフレーズ付きで、
今時のおもちゃがやはりやはりずらりとお顔を揃えていて。

 “学校も今日から冬休みだそうだし、
  子供たちやお嬢さんたちには心浮きたつ一日なんだろうな。”

そろそろいい時分なのでと台所へ立ったブッダ様。
アパートには彼しかおらずで、
イエス様は相も変わらず、
年末の人手不足に困ってた雑貨屋さんから助っ人にと駆り出されており、
いつも通りに4時間の約束で務めている彼だけれど、
そちらもクリスマスイブなのでお客が引きも切らずとなって忙しいのかも知れぬ。
ままそのくらいはそれこそ織り込み済みというもので、
連絡なしでもさほど気をもんではいないブッダであり、

 “イエスの方こそ、ああもうってそわそわしてないかなぁ。”

私が案じてないか、寂しがってないかと、
彼こそ気に病んで気もそぞろになってないかしらなんて、
そんなことを想いつつ、
微笑ましいなぁとついついやわらかそうな口許がほころんでしまったり。
聖家では、当然
クリスマスはそのままイエスの誕生日でもあるのだからと、
25日の方で祝うようにしているが、
そうと思いつつも、蓋を開けて温め直しをしているのは
キャベツとコーンがいっぱい入った、チャウダー風のクリームシチューだし、
傍らのボウルには水でふやかした車麩が用意されていて、
これをキュッと絞って溶き卵にひたし、
ピカタ風にフライパンで焼いたのが、最近のイエスの大好物になってもいて。
炊飯器に用意されてあるのはサツマイモご飯だし、
油揚げに卵を巾着風に入れ込んで、甘辛に煮込んだあぶ玉煮も準備は万端。

 “…シチューってのは浮いたかなぁ?”

でも明日は茶碗蒸しを作る予定だから、
そこへのシチューはもっと合わないかもと前倒しにしたのであり。
今日もお祝いの日にしていいぞという心づもりの献立を、
イエスには内緒で仕立てておいでのブッダ様。
いつ帰って来てもすぐ出せるぞという段取りを固め、
そんな手際に満足しつつ、視線が向いたのが窓辺の Jr.の足元で。
使い回しのクラフト紙の袋には、
今日やっと仕上がった編み物が入ってる。
ミトンにスヌーヴと、手作りニットのプレゼント第3弾は、
ニット帽をと頑張った。
日頃、ブッダとシェアしている帽子だけれど
ブッダの頭の形になじんでるそれは、
イエスがかぶるとちょっぴり微妙だったので、
色違いの同じのをとお留守番しつつ頑張った。

 “…でもどうだろか。”

イエスがと限った話じゃあなくて、
実はブッダの側も、
同じのを使い回し合ってるの、こっそり嬉しがってる節がある。
イエスの方は嫌がってないというレベルかもだけど、
ブッダの側は、自分の持ち物がイエスの役に立ってるのが嬉しいし、
イエスが身につけてたもの、自身の肌に添わせるのが
これまたこっそり、でもでもレベル的にはかなりの級で嬉しくてしょうがない。

 “いや、あからさまに言ったら怪訝がられるだろうけど。//////”

変な人だと思われれないよう、
そこは何とか隠しているが…じゃあなくて。
キミのだよなんて新しいのを進呈したら、
ブッダのを使われるの、嫌がってるのかななんて思われないかしらと。
今になって、しかもそこまで深読みして案じているのだから世話はない。
いつもブッダの目の前にいて、
突拍子もないこととか繰り出してくれた方がいっそ平和かもしれないイエス様は、
実は実は、ブッダへのクリスマスプレゼントを今日一日かかって思案してたらしくって。
花束は予約してあったけど、相変わらずに贈り物を想いつけなくて右往左往。
そして、やっぱり今年も正直に、そんな体たらくだったのごめんねと
素直に告白してしまうに違いなく。

 それでもあのね?
 恋する二人には 何のがっかりにもなりはせぬ。

 『それってつまり、イエスってば今日の一日中、私のことばかり考えててくれたんだね?』

そんな風に喜んでくれる、心優しい釈迦牟尼様に
うわぁ〜vvっと感動しきりとなるヨシュア様なのに違いなく。

 “早く帰ってこないかなぁvv/////////”

テレビもご町内も駅前も、どこもかしこもクリスマス一色なものだから、
イエスのこと一番想っているのは自分だと、早く早く伝えたくてしょうがない如来様。
そろそろ帰ってくるはずという段になって、
うきうきとそわそわが止まらないらしいところなぞ、
新妻の落ち着きのなさにさも似たりだと、
誰か言ってやって、言ってやってよ、もうvv


  どちら様も 
Merry Christmas!






   〜Fine〜  15.12.24.


 *何かやっつけっぽくてすいません。
  明日も忙しそうなのが見えてきましたので、とりあえず。
  (それをやっつけというのだが…)
  あああ、あのネタもこのお話も書きたいのにぃ〜。


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